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2015/12/25
お知らせ
保健師コース選択学生「聞き書き」で地域貢献

 今年度、本学で初めてとなる保健師コース選択学生15名が、「聞き書き」を行いました。

 「聞き書き」とは、「語り手の話を聞き、それをその人の「話し言葉」で書いて、活字にして後世に残すこと。(小田豊二:「聞き書きをはじめよう」図書出版木星舎2012より)」と言われています。歴史を後世に語り継ぐために、20世紀末頃に北海道の開拓地で始まったといわれています。2000年には「日本聞き書き学会」が発足し、今は「NPO白十字ボランティアの会」など、多くの個人・団体がボランティアとして実践しています。

 本学では、「公衆衛生看護学Ⅴ(保健活動・保健指導 発展編)」の授業の一環として行いました。看護大学の授業としてこれを行うのは、全国的にみても珍しい試みのようです。“対象者とのコミュニケーションについて更に考えを深め体得すること、また対象者の住み慣れたお宅に出向くことで、人々の人生観や生き様を学び、今後の看護活動に活かすこと”を目的に行ないました。

 まず7月に、小田先生を大学へ招聘しました。先生がゲストにインタビューをし、学生はそのやり取りを書き出し、本にしていくプロセスを実践的に学びました。そして10月いよいよ本番です。約1ヶ月かけて、対象者(豊資会や新宮苑にご協力いただきました)のお宅に単独で訪問し、複数回お話を聴かせていただきながら、それを活字に起こしていきました。途中、何度も校正し、最後は一冊の本にしてご本人にお届けしました。

 対象者には「自分の半生を本にまとめられて幸せだ」「大切な宝物ができた」「家族や友人に配りたい」「学生さんが話をじっくり聞いてくれて来てくれるのが楽しみ」など、涙を流し喜んでいただきました。一方、学生は「生活の場に出向くことで、対象者の生き様やお人柄を直に学ぶ機会となり、自身の人生観や価値観にも大きく影響した」「こちらが用意した質問に答えていただくのではなく、対象者が語りたいことを心置きなく話しいただくのが傾聴の基本である」「たとえ短い時間でも、誠心誠意心をこめて対象者の語りに耳を傾けていきたい」などの感想がありました。学生は、対象者が語りを通して元気になられるお姿に、単に病気や障がいだけに目を向けるのではなく、よりよく生ききることを支える看護職の役割について学んでいました。

 このように、学生にとって教育的意義が高く、また高齢者の生きがいづくりにもつながるこの「聞き書き」を、今後も継続していきたいと考えています。

公衆衛生・在宅看護領域